インプラントとセラミックの違いを徹底比較 どちらが良いか選ぶ方法も解説
歯を失ったり、虫歯で歯が欠けたりした時、「インプラント」や「セラミック」という選択肢を耳にしたことはありませんか？どちらも歯の機能や見た目を回復させる優れた治療法ですが、実はその目的や治療方法は全く異なります。
この記事では、「歯の根っこが残っているか」という根本的な違いから、費用や期間、メリット・デメリットまでを徹底比較。あなたにとって最適な治療法を見つけるための判断基準を、わかりやすく解説します。
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インプラントとセラミックの違い
インプラントとは
特徴
インプラントは、主に人工歯根、土台、人工歯の3つのパーツで構成されています。人工歯根は顎の骨に直接埋め込むネジのような部分で、主にチタンで作られています。土台は骨と結合した人工歯根の上に取り付ける、人工歯との連結部分です。人工歯は歯の見た目や噛み合わせを担う部分で、セラミックなどの素材で作られ、周りの歯の色や形に合わせて自然な見た目を再現します。この3層構造により、インプラントは顎の骨にしっかりと固定され、天然の歯に近い機能を発揮します。
治療方法
インプラント治療は外科手術を伴うため、安全性を最優先し、段階を一つずつ踏んで慎重に進められます。一般的な治療の流れは以下のようになります。
まず、レントゲンや歯科用CTで詳細にお口の中を撮影し、顎の骨の量や厚み、神経や血管の位置などを立体的に把握し、手術計画を立てます。歯茎を切開して顎の骨を露出させ、計画した位置に専用のドリルで穴を開け、その穴に人工歯根（インプラント体）を埋め込み、歯茎を縫い合わせて閉じます。インプラントが骨と結合した後に歯茎を再び小さく切開し、埋まっていた人工歯根の頭を出します。
そこに土台（アバットメント）を連結します。お口の型取りを行い、歯の色や形を合わせた人工歯を作製し、完成した人工歯を土台に装着し、噛み合わせをさらに精密に調整して治療は完了です。
治療期間
インプラント治療は、人工歯根と骨が結合するのを待つ時間が必要なため、他の治療法に比べて期間が長くなります。最初のカウンセリングから最終的な人工歯が入るまで、一般的には6ヶ月から10ヶ月程度を見込むことが多いです。
これはあくまで目安であり、抜歯と同時にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」を行うか、骨造成が必要かなど、お口の状態によって治療期間は大きく変動します。治療開始前に歯科医師とスケジュールをよく確認することが大切です。
治療費
インプラント治療は自由診療のため、費用は全額自己負担となります。
費用は歯科医院やインプラントの種類、治療部位によって異なりますが、一般的に1本あたり30万円から50万円程度が相場です。
しかし、使用するインプラントの素材や手術方法によっても費用が変動するため、事前に歯科医師とよく相談することが大切です。
高額な治療ではありますが、確定申告で医療費控除を申請することで、所得税や住民税の還付を受けられる場合があります。
メリット
インプラント治療には、他の治療法にはない多くの優れた点があります。顎の骨に固定されるため、入れ歯のようにずれたり外れたりせず、食べ物をしっかりと噛むことができます。
ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がなく、入れ歯のバネによる負担もないため、残っている他の歯の寿命を守れます。入れ歯のようにお口の中を広く覆わないため違和感が少なく、会話の際にも発音を邪魔しません。
デメリット
インプラント治療には多くのメリットがある一方、注意すべき点も存在します。
人工歯根を顎の骨に埋め込むための外科手術が必要で、人工歯根と骨が結合するのを待つ必要があるため、治療完了までに数ヶ月から1年以上かかる場合があります。
さらに、公的医療保険が適用されない自由診療のため、治療費が高額になる点もデメリットです。インプラント自体は虫歯になりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」になるリスクがあります。
インプラント治療のメリット・デメリットについては、こちらの記事もご参照ください
【歯科医師解説】インプラントのデメリット・メリット4つ トラブルの可能性や対策方法は？
セラミックとは
特徴
セラミックは、保険適用の銀歯やプラスチックにはない優れた特徴を持つ素材です。天然歯の光の透過性を再現し、美しい仕上がりとなるため、特に前歯の治療に適しています。さらに、色調も調整しやすいため、患者さんの希望に合わせた自然な見た目を実現できます。セラミックは化学的に安定した素材であり、金属アレルギーのリスクや歯茎が黒ずむ心配がありません。
また、水分を吸収しないため、長期間にわたり白く美しい状態を保てます。表面が滑らかで歯垢などの汚れが付着しにくいため、二次的な虫歯のリスクを抑えることが可能です。
治療方法
セラミック治療は、インプラントのような手術は必要なく、虫歯治療に近い流れで進みます。ここでは、被せ物（クラウン）の基本的な治療手順をご紹介します。
- 歯の形成（歯を削る）
被せ物が入るスペースを作るため、麻酔して歯をひと回り小さく削ります。
- 型取り
精密な被せ物を作るために、削った歯の型を取ります。
- セラミック歯の装着
約1〜2週間後、歯科技工士がオーダーメイドで製作したセラミック歯が完成します。噛み合わせや色、形などを最終確認し、問題なければ専用の接着剤で歯に固定して治療は完了です。
治療期間
セラミック治療の大きな利点は、治療期間が非常に短いことです。インプラント治療が数ヶ月単位の時間を要するのに対し、セラミック治療は通常、数回の通院で完了します。
一般的な被せ物（クラウン）の場合、最初の歯を削る処置から、最終的なセラミックの歯を装着するまで、およそ2〜3週間程度です。
通院回数も、型取りの日と装着の日の2回で済むことがほとんどです。歯科医院によっては、院内にセラミックを削り出す機械（CAD/CAMシステム）を導入しており、最短1日で治療が完了する場合もあります。
治療費
セラミック治療は、一部の例外を除いて公的医療保険が適用されない「自由診療」のため、費用は全額自己負担となります。
費用は、詰め物か被せ物か、また使用するセラミックの種類や歯科医院によって異なります。
詰め物（インレー）：1本あたり5万円〜8万円程度
被せ物（クラウン）：1本あたり8万円〜15万円程度
インプラント治療に比べると費用は抑えられますが、保険適用の銀歯（数千円程度）と比較すると高額になります。
しかし、その費用に見合うだけの審美性や耐久性、体への優しさといったメリットがあります。
セラミック治療もインプラントと同様に、医療費控除の対象となります。
メリット
セラミック治療は、見た目の美しさや体への優しさという点で多くのメリットがあります。天然歯と見分けがつかないほど自然な色調と透明感を再現でき、金属を使用しないため歯茎が黒ずむこともありません。
また、経年による変色もしにくいため、治療後の美しい状態を長く保てます。色の濃い飲食物による着色がほとんどなく、長期間にわたり白さと輝きを維持できます。金属アレルギーの心配がなく、健康への影響もありません。表面が滑らかなため汚れが付着しにくく、二次的な虫歯のリスクを低減できます。
デメリット
セラミック治療には多くのメリットがある一方で、注意点も存在します。陶材であるため、強い衝撃が加わると欠けたり割れたりすることがあります。
また、セラミックは天然歯よりも硬い素材のため、噛み合う相手の歯が天然歯である場合、長期間の使用によって相手の歯をすり減らしてしまうことがあります。そのため、セラミック治療を行う際には、全体の歯のバランスや噛み合わせを考慮した上で素材を選択することが重要です。歯科医師は噛み合わせを精密に調整し、このリスクを最小限に抑えます。
インプラントとセラミック、どう選ぶ？
歯根があるか
治療法を選ぶうえで、最も基本的で重要な分かれ道は歯根が残っているかどうかです。
歯根の周りには歯根膜という薄い膜があり、噛んだときの硬さや感触を脳に伝えるセンサーの役割を担っています。
歯根が残っている場合、虫歯や事故で歯の頭の部分が欠けても、歯根が健康な状態であれば、その歯根を土台として活かすことができます。この場合は、歯を削って形を整え、セラミックの被せ物などで修復するのが基本的な選択肢です。
歯根ごと失ってしまった場合は、セラミックの土台が存在しないため、セラミック治療はできません。
このような状況で選択肢となるのがインプラント治療です。顎の骨に直接、人工の歯根を埋め込むことで、失われた歯の機能と見た目を根本から回復させます。
このように、歯根の有無が治療の出発点となります。
まずは歯科医院で精密な検査を受け、ご自身の歯根の状態を正確に把握することが何よりも大切です。
金属アレルギーかどうか
お口の中は唾液で潤い、金属製の修復物があると金属イオンが溶け出しやすいです。金属アレルギーをお持ちの方や心配な方にとって、素材の選択は重要です。アレルギー反応は、お口の粘膜が荒れるだけでなく、全身の皮膚に発疹を起こすこともあります。
インプラントの人工歯根には主にチタンが使われます。チタンは骨と結合しやすく、アレルギー反応が起こりにくい金属です。セラミックは陶材であり、金属を含みません。金属アレルギーが心配な場合は、カウンセリングの際にメタルフリー治療を希望と伝えることが大切です。
どこの歯を治療するか
お口の中の歯はそれぞれの場所によって役割が異なり、歯科治療法に求められる優先順位も変わります。前歯は人目に付きやすく、歯の機能以上に審美性が重要視されます。インプラントで前歯を治療する場合、最終的に装着する人工歯には審美性に優れたセラミックが選ばれるのが一般的です。
奥歯は食事の際に強い力がかかるため、見た目よりも強度と耐久性が求められます。セラミックで奥歯を治療する場合は、特にジルコニアという硬い素材が推奨されます。どちらの治療法を選ぶにしても、治療後の周りの歯との噛み合わせを精密に調整することが重要です。
インプラントかセラミックで悩んでいる方は、堺市南区の「C&Cナカイデンタルクリニック」へご相談ください
インプラントかセラミックで悩んでいる方は、堺市南区の「C&Cナカイデンタルクリニック」へご相談ください。その選択は、今後の食事の楽しみや笑顔の自信を左右する、大切な決断です。
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