歯周病治療

歯周病治療とは?

歯の付け根の部分で炎症が起こり、その刺激で歯を支える骨が溶ける病気です。
風邪などのように休息をとったり自然治癒力に頼ったりしても治ることはありません。
歯ぐきの炎症が一時的に治まる程度のことはありますが、歯周病そのものは進行を続けています。
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けていくので、最終的には歯が脱落してしまいます。
比較的早い段階で現れる症状として「口臭」「歯茎の腫れ」「起床時のネバつき」などが挙げられますが、そもそも歯周病は症状の現れにくい病気です。
無症状のうちから予防・定期検診に取り組みましょう。

歯周病が引き起こす全身疾患

現代人の多くが直面している生活習慣病です。なかでも、糖尿病の患者さまは日本のみならず世界中でも増加の一途です。糖尿病は、血糖を下げるホルモン「インスリン」が不足し、血糖値が高い状態が続いてしまう疾患です。結果的に、身体の細い血管に障害が起こり、脳梗塞・心筋梗塞・網膜症などの合併症のリスクが高まります。
その糖尿病に歯周病が関係していることをご存知でしょうか?
実は、歯周病の炎症が生じていると、血糖値のコントロールが難しくなります。また、糖尿病を発症している人は歯周病も重症化しやすくなるのです。このように糖尿病と歯周病は相互に関係しているからこそ、歯周病治療は早めに行わなければなりません。

歯周病と関連のある疾患

心臓疾患

歯周病菌が歯肉の血管を通って、全身に巡ると血栓の生じる可能性が高まります。結果的に動脈硬化につながってしまうのです。動脈硬化により、心筋に血液を送る血管が狭くなると、狭心症・心筋梗塞のリスクが高まります。

脳梗塞

歯周病菌によって、血栓の生じるリスクが高まると、脳の血管にも影響を及ぼしてしまいます。
脳の血管が詰まったり、狭くなってしまうと、脳梗塞や脳卒中を引き起こす可能性が高まると指摘されています。

誤嚥性肺炎

お口から気管を通って肺に入り込んだ細菌が、肺炎を引き起こします。
私たちの身体は、食物を飲み込むときには気管にフタ(喉頭蓋)をし、気管や肺へ異物が入るのを防ぐ仕組みになっています。この反射が低下するお年寄りに、多く起こり得ます。

糖尿病

お口の細菌が原因で作られた物質が、糖尿病に影響を与えてしまいます。
血液中に流れ込んだお口の中の細菌はTNF-αという物質を作ります。このTNF-αは、インシュリンが血糖中の糖の濃度をコントロールする働きを阻害します。

低体重児出産

お口の細菌が原因で作られた物質が、低体重児出産に影響を与えます。
歯周病原菌の成分である内毒素が免疫担当細胞を刺激し、プロスタグランディンやTNF-αという物質を作り出します。これらの物質が低体重児出産の原因の一つとなるのです。

動脈硬化症・冠動脈疾患

原因の一つは、お口の中の細菌です。
血液に入り込んだ歯周病原菌が血管壁に感染すると、防御反応により作られたメディエーターが動脈壁の硬化を起こします。
また、歯周病原菌の作用で血小板が塊となり、心臓動脈に詰まることもあります。

歯周病の進行について

  1. Step01第1段階 歯肉炎

    歯茎だけが腫れている状態です。軽い炎症なので、痛みや違和感はほとんどありません。ブラッシングを徹底し、歯科医院でクリーニングや歯石除去などを行えば、健康な歯肉への改善が期待できます。しかし、歯肉炎を放置すると第2段階の「歯周炎」に移行します。

  2. Step02第2段階 軽度歯周炎

    「歯みがきをすると出血が起こる」「歯が浮くような感じがする」などの症状があります。ただ、ほとんどの場合自覚症状はありません。主な治療法として、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの歯垢や歯石除去などを行っていきます。もちろん、ご自宅での徹底したブラッシングも欠かせません。

  3. Step03第3段階 中等度歯周炎

    歯槽骨が溶けて、歯肉が赤紫色に腫れている状態です。膿が出てくることもあり、口臭が強くなるなど、はっきりとした自覚症状が出てきます。通常のクリーニングや歯石除去などでは対応できないケースも多く、歯周外科手術が必要な場合があります。

  4. Step04第4段階 重度歯周炎

    歯肉は下がり、大量の歯石が歯根に付いているのが分かる状態です。歯を触ると大きくグラつき、自然に抜け落ちてしまうケースもあります。残っている歯を長く持たせるよう、歯槽骨の回復を目指す治療などを提案できる可能性もあります。

歯周病治療の流れ

  • Step01

    診察・歯周病の説明

    歯科医師が診察を行います。
    症状や患者さまの気がかりなことなどをお聞きします。

  • Step02

    診査

    レントゲン撮影、顕微鏡での歯周病菌検査、歯周病検査を行います。

  • Step03

    診査結果のご説明

    診査結果に基づき病状と治療法、治療回数などをお伝えします。

  • Step04

    ブラッシング指導(TBI)

    歯周病治療においてセルフケアは非常に重要です。何回もブラッシング指導をさせていただきます。

  • Step05

    治療のスタート

    歯周病治療は病状に合わせ、ステップを踏んで進めてまいります。
    スケーリング、SRP、歯周外科治療、歯周再生療法などを行います。

  • Step06

    メインテナンスへ

    メインテナンスの方法・頻度は患者さまによって異なりますが、歯周病の予防には、継続的な管理とメインテナンスが不可欠です。

スケーリング・
ルートプレーニング(SRP)

スケーリング・ルートプレーニング
(SRP)

スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる器具を使用し、歯の表面や歯肉溝(歯周ポケット)に付着した歯垢や歯石を除去することです。
しかし、歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなるため、スケーリングだけでは奥深くの歯石を取ることができません。
この場合、キュレットという器具を使用し、奥深くの歯石や感染した歯質をきれいに取る、ルートプレーニングを行います。

5㎜以上の歯周ポケットがある方

重度の歯周病には手術が必要になることがあります。歯周外科手術にはいくつかの方法がありますが、歯周ポケットに対する代表的な手術が「フラップ手術」です。
歯肉(歯茎)を切開して、歯周ポケット内に深くまで入り込んだ歯垢(プラーク)や歯石などを取り除きます。

当院の重度の歯周病治療

当院ではフラップ手術、歯周再生療法などの歯周外科治療により重度歯周病に対応、歯の温存に尽力しています。
再生療法では歯周組織再生誘導材「エムドゲイン」、骨補填材「Bio-Oss」等を使用。高い臨床成績を上げています。

歯周外科手術

歯周外科手術は、歯肉を切って剥離することで、歯肉の下に隠れていた歯の根元に付いた歯石や骨が見える状態にし、歯周基本治療では除去し切れない部分のバイオフィルムの除去を行う方法です。この際に、骨の痩せている形に応じて、歯周組織再生材料を併用・応用することで、歯周組織を再生させる方法が歯周組織再生療法です。

メリット

  • 歯周病によって失われる可能性のある歯を保存できる
  • 歯周病の進行を防止できる

デメリット

  • 手術後には一時的な痛みや腫れが生じることがある
料金(税込) 保険診療で 10,000~15,000円(3割負担)

治療期間:1日、治療回数:1回(1部位)
※治療後のメインテナンスが必要となる

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法は、歯周病により失われた歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を再生させる目的で行われます。手術を成功させるために重要なことは、術前に正確な診査を行い、再生療法の適応症であるかどうかを見極めることです。
骨の痩せ方によっては適応でない場合もあるため、骨の3次元的な形態を把握するために、歯科用CTを撮影します。
また、お口の清掃状態が悪いことと喫煙は、歯周組織の再生の邪魔をするため、手術前と手術後の徹底したプラークコントロールや禁煙が必須です。

メリット

  • 合併症を誘発するリスクが少ない
  • 自分自身の歯を使い続けることができる

デメリット

  • 骨の再生には、ある程度の時間がかかる
  • 保険適用外治療となる
料金(税込) 55,000円

治療期間:1日、治療回数:1回(1部位)
※治療後のメインテナンスが必要となる

定期検診で健康な口腔内を維持しましょう

定期検診で行う歯のクリーニングが「予防」のカギとなります。
むし歯や歯周病の予防のためには、毎日の正しいブラッシングが欠かせません。でも、どんなに丁寧にブラッシングしても、お口の中の汚れをすべて落とすことはなかなかできません。
その汚れを落とすことができるのが、歯科医院でのプロフェッショナルケアなのです。

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