嚙み合わせ治療
人間は下顎を複数の筋肉を弛緩・収縮して動かし、上顎につけることで「嚙む」動作を繰り返して食べます。顎の関節(顎関節)を中心とした歯・筋肉・中枢神経系の連携による一連の動きを「咬合(こうごう)」「嚙み合わせ」と呼びます。これらの咬合の構成要素の1つに何らかの不調和が起こると、咬合に異常をきたし、やがて身体の不調へとつながるという悪循環を引き起こします。
日本人は生まれつき下顎が小さい傾向にあるといわれ、そのため歯が正しい位置に生えず、嚙み合わせがうまくいかない人が多いといわれています。身体のあちこちに異変を感じたり辛い思いをしたりしているのは、実は「嚙み合わせの悪さ」が原因だったということもあり得ます。
嚙み合わせが悪くなる原因
歯は弱い力をかけ続けると動く性質があるので、毎日無意識に続けてしまうクセによって、歯並びや嚙み合わせが乱れてしまうことがあります。特に成長期のお子さまは、顎の骨がやわらかいので注意が必要です。次に挙げるクセに思い当たるときは、優しく声をかけて、できるだけ早く直してあげてください。
頬杖
成人の頭の重さは体重の1割ほどです。そのため、頬杖をつくクセがあると、その重さが歯や顎の骨にかかり、歯並びや嚙み合わせに影響します。
爪を嚙む
硬い爪を嚙む(咬む)クセがあると、歯や歯ぐきに負担がかかります。そして前歯の歯並びや嚙み合わせに悪影響を与えやすいので注意しましょう。
指を吸う
指を吸うクセがあると、前歯をはじめ、歯全体に力がかかり、前歯が出てしまう原因になります。
舌癖
舌で前歯を押したり、舌を出すクセがあると、前歯が突出したり、開咬になったりして歯並びや嚙み合わせが乱れるリスクが高まります。
歯ぎしり
歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎にとても強い力がかかるので、歯がすり減ったり、ヒビが入ったり、嚙み合わせが乱れるリスクを負います。
顎関節症
顎関節症は顎の筋肉の疼痛、顎の関節音、および顎関節の機能障害などを主要な症候とする慢性疾患の包括的な診断名です。
原因も様々で未知の部分の多い顎関節症ですが、頬杖などの悪癖や近年の軟食化(軟らかい食事が中心)の影響など、生活習慣が原因の一つともいわれています。
顎関節症と嚙み合わせ
「口を開けたら痛い」とか「口が開けにくい」といった、顎関節の症状だけで来院されるケースはあまり多くありません。
違うお悩みを訴えられる中で見られる症状に付随することが多いのが、顎関節症の特徴です。
顎関節症は、嚙み合わせや歯並びだけではなく、成長時の一時的なもの、嚙み合わせによる顎への負担、その人が持っている嚙み方のクセのほか、頬杖をつくクセが原因になることもよくあります。
問診票にご記入いただき、考えられる原因を探ります。
顎関節の治療で難治性のものなどは、口腔外科と連携して治療を行います。
マウスピースによる治療
マウスピースを口に入れ、顎の関節にかかる過度な負担を軽減します。
症状により使用する材料や、装着時間は異なります。多くの方は、ナイトガードという、就寝時に装着するマウスピースで症状の緩和を目指します。
マウスピース作製後は、初めは1~2週間後を目安にマウスピースと顎の状態を確認し、その後は数ヶ月単位で間隔を空けて経過観察を行います。
料金(税込) | 保険に準ずる |
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ボツリヌス治療
当院はボツリヌス治療を行っております。
歯ぎしり・くいしばり等でお悩みの方には特に効果的な治療法となります。
咬筋に専用の薬剤を注射することで収縮力を弱めて、歯ぎしりや食いしばりの症状を緩和することが可能です。
歯ぎしり・くいしばりについて
歯ぎしり・くいしばりが強いと、歯が擦り減ってしまったり、歯が割れる、歯周病が進行しやすくなるなどのダメージを受けやすくなります。さらに、肩こり、偏頭痛、疲労感、血行不良、顔のむくみなど、全身に影響が出ることも少なくありません。
ボツリヌス治療とは
ボツリヌス治療は、医療において世界中で広く使用されており、日本においても厚生労働省の許可を得てさまざまな診療科で使用されています。ボツリヌスは筋肉に注射することで、過緊張を起こす筋肉の力を緩める事が出来ます。
ボツリヌストキシン製剤を打つ前の顎の筋肉は、毎日ジムに通ってパンプアップした状態と同じになります。
そこにボツリヌストキシン製剤を使用することにより2ヵ月~3ヶ月ジムをお休みすることになります。ただし効果が薄れると再度筋トレを行い、以前の状態に戻ろうとするため、一度でやめてしまうと効果を感じにくくなります。
継続して治療を行うことにより、より効果を感じやすくなります。
ボツリヌス治療で改善が期待されるケース
歯ぎしり・くいしばり治療
原因においては生活習慣やストレスなど複合的な要因が指摘されていますが、咬筋にボツリヌスを注射することで過度にかかる力を緩和させることで治療します。
顎関節症治療
口を開け閉めする際に、顎でカクカクと音がするようになったり、口が大きく開かなくなるなどといった症状が出ます。顎の関節部や咀嚼筋に過度な負担がかかると痛みを感じるようになります。ボツリヌスを注射することで筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和させていきます。
ガミースマイル治療
笑うと歯茎が大きく見えてしまうガミースマイル。歯ぐきが見えてしまうことが気になり、思いきり笑うことができないという方も少なくありません。
ボツリヌスを注射することで過剰な筋力を弱め、歯ぐきの露出を軽減することが可能です。
顎の梅干しジワ改善
顎の梅干しジワは、口を閉じているときに顎に現れる凸凹としたシワで、顎にある「オトガイ筋」という筋肉が緊張することで現れます。
オトガイ筋とは下唇から顎の先にかけて伸びる筋肉で、下唇を持ち上げる際に力が入ります。
歯並びや顎の後退などによって口が閉じにくい状態だと、口を閉じようとするときに力が入りやすく、顎に梅干しジワができてしまうのです。
ボツリヌス治療を行うことによりこれらの筋肉の過緊張を和らげることが可能です。
ボツリヌス治療の流れ
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Step01
注射による痛みを軽減するために術部を冷却します。
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Step02
必要な部位にボツリヌスを注射します。
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Step03
ボツリヌスの効果は1回で約2ヵ月~3ヶ月程度です。
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Step04
一度の治療にかかる時間は15分程度です。
ボツリヌス治療を受けられないケース
以下のような疾患や既往歴のある方は、ボツリヌス治療を受けられませんのでご了承ください。
- 神経筋伝達機構障害のある方
- 心臓・肝臓・腎臓に障害のある方や現在治療中の方
- 抗凝固剤服用既往のある方
- 閉塞性隅角緑内障の方
- 薬物アレルギーのある方
妊娠中・授乳中の方もしくは妊娠のご予定のある方(男性の方も治療から2ヵ月の間は避妊を行ってください)
歯科治療を目的としておりますので、美容目的の方もお断りしております。
初診でボツリヌス治療をご希望の方は、歯科医師がお口の状態を診断させていただき、必要と判断した場合のみ対応させていただきます。
料金案内
料金 | 38,500円(税込) |
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