奥歯をインプラントにするメリット・デメリット。治療が難しいケースも解説
奥歯を1本失ったままにしていませんか?実はその1本が、食事や会話はもちろん、顔の輪郭を支え、全身の健康にまで影響を及ぼす「縁の下の力持ち」です。失った機能を取り戻す有力な選択肢がインプラント治療です。
しかし、「治療費が高額」「治療期間が長い」といったデメリットや、解剖学的に治療が難しいケースがあるのも事実です。この記事では、奥歯をインプラントにするメリット・デメリットを徹底比較し、後悔しないための知識を詳しく解説します。
目次
そもそも奥歯の役割とは
奥歯は普段目立たないものの、日々の食事や全身の健康を支える非常に重要な役割を担っています。奥歯を早期に失うと、食べにくいだけでなく体の様々な問題につながる可能性が高まります。奥歯は摂取した食べ物を細かく噛み砕き、栄養をすり潰す「高性能な粉砕機」としての役割を担っています。食べ物が十分に細かくなることで唾液と混ざりやすくなり、円滑な消化を助けます。
さらに、奥歯は顔全体の輪郭を維持する「大切な支柱」のような役割も担っています。奥歯を早期に失うと、頬が内側にくぼみ、口元にしわが寄り、年齢より老けて見られる原因にもなります。このように、奥歯は口の中の健康だけでなく、見た目の印象や体全体の健康にも深く関わっているのです。
奥歯をインプラントにするメリット
周囲の歯に負担がかからない
インプラントは、周囲の歯に頼らず独立して機能するため、周囲の歯に負担がかからない点が大きなメリットです。インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨に直接、人工歯根を埋め込みます。この人工歯根がしっかりと骨と結合することで、天然歯のような安定した噛み心地を取り戻せるのです。
そのため、ブリッジのように健康な歯を削る必要も、入れ歯のようにバネをかける必要もありません。周囲の大切な歯を守りながら、失った部分の機能だけを回復できる、歯に優しい治療法といえます。さらに、見た目の自然さも追求できるため、自信を持って笑顔を見せられるようになるでしょう。
噛み合わせのバランスが整う
奥歯は、食べ物をすり潰すだけでなく、お口全体の噛み合わせを正しい位置で安定させる「要」の役割を担っています。奥歯を1本でも失ったまま放置すると、歯列全体のバランスが崩れてしまう危険性があります。インプラントは、失った歯があった場所にしっかりと固定され、周囲の歯が動いてしまうのを防ぎます。
天然歯に近い高さや形で歯を再現できるため、お口全体の噛み合わせのバランスを正しく整え、長期的に維持することが可能です。正しい噛み合わせは、お口だけでなく全身の健康を守る上でも非常に重要です。
天然歯同様に食事が楽しめる
天然歯同様に食事が楽しめることは、生活の質(QOL)を保つ上でとても大切です。インプラントは、チタン製の人工歯根が顎の骨と強固に結合します。そのため、入れ歯のようなぐらつきやズレの心配がなく、ご自身の歯のように噛むことができます。
さらに、インプラントは周囲の歯に負担をかけることなく独立して機能するため、他の歯の寿命を延ばすことにも繋がります。また、入れ歯のように歯茎を広く覆うことがないため、食べ物の味や食感、温度も自然に感じられます。食事を心から楽しめるようになることで、日々の生活がより豊かになります。
噛む力が衰えない
食べ物をしっかりと噛む力(咀嚼能力)は、健康長寿の鍵といわれています。食べ物を細かく噛み砕くことで消化・吸収を助けるだけでなく、噛む刺激が脳への血流を増やし、脳の活性化にもつながると考えられています。
しかし、歯を失った後の治療法によっては、この噛む力が大きく低下してしまいます。インプラントは顎の骨が直接支えるため、天然歯とほぼ同等の強い力で噛むことができます。咀嚼能力が衰える心配がなく、様々な食材からバランス良く栄養を摂取できるため、全身の健康維持にも大きく貢献します。
顎の骨が痩せていかない
私たちの体の骨は、適度な刺激が加わることでその密度や量を維持しており、顎の骨も同様で、歯を通して伝わる「噛む」という刺激によって健康が保たれています。歯を失うと、その部分の顎の骨には刺激が伝わらなくなり、体は「この骨はもう使われていない」と判断し、骨が徐々に痩せていってしまいます。
ブリッジや入れ歯は歯茎の上から人工歯を補うため、噛む力を骨に直接伝えることができません。骨が痩せると、入れ歯が合わなくなったり、顔の輪郭が変わって老けた印象になったりする原因となります。顎の骨の健康を長期的に保てるのは、他の治療法にはないインプラントだけの大きなメリットです。
滑舌や発音を保てる
歯は食事だけでなく、円滑かつ明瞭な発音のためにも不可欠です。特にサ行やタ行の発音において、歯は非常に重要な役割を果たしています。私たちは、舌や唇を歯に軽く接触させたり、歯の裏側に適切な空間を作ったりすることで、様々な音を作り出しています。
インプラントは、天然歯とほぼ同じ大きさ・形で独立して存在するため、異物感がほとんどありません。さらに、しっかりと顎に強固に固定されるため、安定感も抜群です。入れ歯のように舌の動きを不自然に妨げるものがないため、もともとの滑舌や発音を自然に保つことができます。
治療後の痛みが少ない
インプラントは手術だから痛いのでは?と不安に思う方もいるかもしれませんが、手術中は麻酔をしっかり効かせるため、痛みを感じることはほとんどありません。歯科医は患者さんの状態に合わせて麻酔の種類や量を調整し、常に痛みの軽減に努めています。手術後、麻酔が切れると多少の痛みや腫れが出ることがありますが、処方される痛み止めでコントロール可能です。
また、痛みが長引く場合は、遠慮なく歯科医に相談することが大切です。インプラントは一度安定すれば、長期にわたって痛みや違和感なく快適に過ごせる可能性が高い治療法といえます。
奥歯をインプラントにするデメリット
自費診療なので治療費が高い
インプラント治療を検討する上で、多くの方が最初に直面するのが費用面の問題です。インプラント治療は自由診療のため、保険適用の治療に比べて費用が高額になります。
奥歯のインプラント1本あたりの費用相場は、35万円~55万円程度です。この金額には、一般的に以下のような費用が含まれています。
* 検査・診断料
* インプラント埋入手術費
* 上部構造(被せ物)の費用
また、特に奥歯の場合、インプラントを埋め込むための骨の厚みや高さが不足しているケースが少なくありません。その際は、骨を増やすための追加手術が必要となり、別途費用がかかることがあります。
治療費が高額になるインプラントですが、支払った費用は医療費控除の対象となります。
治療期間が長い
インプラント治療は、他の治療法に比べて最終的な歯が入るまでの期間が長くなる傾向があります。インプラントが顎の骨としっかりと結合するために、一定の治癒期間が必要だからです。
一般的な治療の流れと期間の目安は以下の通りです。検査・治療計画では、CTなどを用いて骨の状態を詳細に確認し、最適な治療計画を立案します。インプラント埋入手術では、局所麻酔下で、顎の骨にインプラントを埋め込みます。
治癒期間として、インプラントと骨が結合するのを待ち、上部構造の装着で最終的な人工の歯を取り付けて治療が完了します。全体の治療期間は、骨の状態が良好な場合でも合計で3ヶ月以上かかることがあります。
インプラント周囲炎になる可能性がある
インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、手入れを怠るとインプラント周囲炎を発症するリスクがあります。インプラント周囲炎を予防するためには、日々の丁寧な歯磨きと歯科医院での定期的なメンテナンスが不可欠です。インプラント周囲炎は、インプラントと歯茎の境目に付着したプラーク内の細菌が原因で起こる炎症です。天然歯の歯周病との大きな違いは、その進行の速さにあります。
天然の歯には歯根膜という組織があり、細菌の侵入に対するバリアとして機能しますが、インプラントには歯根膜が存在しないため、細菌に対する防御力が弱いです。インプラント周囲炎が進行すると、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
治療後も定期メンテナンスが必要
インプラント治療後も、インプラントを長く健康に使い続けるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。毎日の歯磨きに加え、歯科医院での専門的なケアが必要となります。メンテナンスでは、専門的なクリーニングでインプラント周囲炎の原因となる細菌の膜を除去したり、レントゲン検査でインプラントを支えている顎の骨の状態を確認します。
また、噛み合わせのチェックでインプラントに過度な力がかかっていないかを確認し、必要に応じて調整します。メンテナンスの頻度は、お口の状態によりますが、通常は3ヶ月から半年に1回程度です。このメンテナンスを「車の車検」のように捉え、継続していくことが、治療の最終的な成功につながります。
奥歯のインプラント治療は難しい?
奥歯のインプラント治療は、前歯に比べてより慎重な計画が求められます。なぜなら、奥歯の周辺には、治療の際に特に注意すべき重要な組織が存在し、解剖学的に複雑な構造をしているからです。
ここでは、奥歯の治療が難しいとされる具体的な理由と、その課題を乗り越えるための現代の歯科医療技術について解説します。
上の奥歯では、骨の厚みが足りない場合、「サイナスリフト」といった骨造成を行うことで、インプラントに必要な骨の高さを確保できます。下の奥歯では、治療前に歯科用CTで神経の位置を3次元的にミリ単位で正確に把握します。これにより、神経を傷つけるリスクを最小限に抑え、安全な位置にインプラントを埋め込む計画を立てることが可能です。
奥歯のインプラント治療を検討している方は、堺市南区の「C&Cナカイデンタルクリニック」へご相談ください
奥歯のインプラント治療を検討している方は、堺市南区の「C&Cナカイデンタルクリニック」へご相談ください。私たちは、単に歯の機能を回復させるだけでなく、患者様の10年後、20年後を見据えたお口の健康を共に創り上げていきたいと考えています。CTによる精密な診断で得られた客観的なデータをお見せしながら丁寧にご説明します。
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